『セガテトリス』、メガドラミニ新規移植版収録おめでとうございます!
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メガドラミニ収録タイトル40本+2本、ついにすべてが発表になりましたね!ラスト2本はまさかのメガドラミニ新規移植タイトル『ダライアス』&『セガテトリス』というサプライズ!発売がめっちゃ楽しみになって参りました!\(^o^)/
このたびめでたく新規移植が決定しました『セガテトリス』。このゲームについて私、昔から思っていた…というか妄想してたことがありまして。それがこの記事のタイトル「『セガテトリス』の元ネタは間違いなく『2001年宇宙の旅』だよね」なんですが…まぁ、ほとんどの方はなに言ってんだかわけ分かりませんよねw
私が思うに『セガテトリス』と『2001年宇宙の旅』の間には、
と、これだけの共通項目があり、セガテトリスの元ネタは『2001年宇宙の旅』だと個人的に確信しているんですが、これでもまだ多くの読者の方には私がなに言ってるのか相変わらずまったく分からないと思うのでw、以下で詳しく解説していきます。ちなみに『2001年宇宙の旅』について激しくネタバレしてるんで、知りたくない方は読まないほうがいいかもです。
セガテトリスの背景画像は、「生命の進化」をモチーフにしている
セガテトリスが他のテトリスと一線を画する最大の特徴のひとつ、レベルアップ毎に変化していく背景画像。アレってなんの脈略もないわけじゃなくて、よくよく見ると「生命の進化」をモチーフにしているんですよね。
↑セガテトリス、全背景画像一覧。左上から右下へ順に表示される。
こうして順番に背景画像を並べると分かっていただけると思うんですが、地球誕生直後の荒涼とした大地から始まり→海ができて生命が誕生し→恐竜に進化して氷河期が来て→人類が誕生し文明が進歩していく。セガテトリスの背景画像は、こうした流れになっています。
これはまさに、生命の進化の歴史!
「海のあと時代飛ばしすぎ。そこは古代魚とか両生類とか巨大植物とか入れとくべきだろ」とか*1、「恐竜がプレイエリアに隠れてぜんぜん見えねーじゃねーか」とか、突っ込みどころが多々あるのはご愛嬌ですけれどもw、それはともかくセガテトリスで使われる10枚の背景画像には「生命の進化」というテーマが込められているわけです。
ここまでが、まずは大前提。
「人類の誕生により進化の歴史は新たなステージに突入した」という、セガテトリスと2001宇宙の旅が共通して持つ「進化観」
上記テーマを念頭に置いたうえでセガテトリスのゲーム性と背景画像の関係を見ていったとき、レベル9「ストーンヘンジ」*2の後、レベル10「田園」でブロックの落下速度が一旦リセットされるのは、たいへん興味深い注目に値する事象です。
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↑レベル9からレベル10になる瞬間。心理的にも難易度的にも開放され、プレイヤー的にはさて一休みといったシーンだが…
このシーン、モノクロの緊張感ある風景から牧歌的な田園風景へと背景画像が変化し、それまで上昇し続けていたブロックの落下速度も下がって一段落つくプレイヤーにとっての息抜き的シーンなんですが、背景画像的にもそれまでのテーマがガラッと入れ換わる、「大転換」のシーンでもあるんですよ。レベル9までの背景画像では「生物の進化の歴史」が描かれるのに対し、レベル10からは「人類の文明の進化の歴史」が描かれるようになるんですね。
私はコレ、「生物の進化の歴史が『人類の進化』という新しい段階に突入した」ことを表現しているのだと考えています。
レベル9で登場した「類人猿」は、レベル10では田園を営むような「文明」を持った「人類」に進化した。「文明」という新しい概念を得た「人類」は、それまでの「生物」とは一段階次元のちがう高次の存在となった。人類の誕生により、生物の進化は次の新しい段階に突入したのだ…
セガテトリスが持つ「進化観」は、要は↑のようなことです。「生物の進化」が「人類の進化」という新しい段階に突入したゆえに、進化が進むたびに高速化していたブロックの落下速度も、ここで一旦レベル1にリセットされたわけですね。RPGで例えるなら、戦士がナイトにクラスチェンジして、レベル1に戻ったみたいなもんです*3。
そしてこのセガテトリスで描かれた進化観、『2001年宇宙の旅』で描かれた進化観と完全に同じなんですよ。本当に、一字一句違わずと言っていいくらい、まったく同じ。
↓の動画は『2001年宇宙の旅』冒頭のシーンですが、謎の物体「モノリス」が地上に現れたことにより、それまで「動物」の一種族に過ぎなかった類人猿が「道具」という文明を得、他の動物とは一線を画した上位的存在に進化したことが描かれています*4。
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↑モノリスにより「人類」に進化する猿たち。
そう、セガテトリスにおけるレベル9→レベル10の「大転換」は、『2001年宇宙の旅』におけるモノリスのシーンとまったく同じ意味を持っているシーンだったんだよ!!な、なんだってーーー!!!!
これは私の想像ですが*5、セガテトリスの開発者は遠くロシアから渡ってきたこの「テトリス」というゲーム名の語感から「モノリス」を連想し、そこから「進化」をテーマに盛り込むことを着想したのではないでしょうか?セガテトリスに猿が登場するのは、前掲したモノリスと猿のシーンのオマージュでしょう。
テトリスのブロック「テトラミノ」は、ただの直方体の板であるモノリスと形状的類似性が非常に高いことも見逃せないポイントです。「ブロックをモノリスに見立てている」という↓のTomoya ONDAさんの見解に、私も100%同意します。
セガのテトリスの背景って脈絡ないってことはなくてあれ地球と文明の歴史を表してるよね。そして猿。ブロックをモノリスに見立てて2001年宇宙の旅の引用をしてると思う。
— Tomoya ONDA / 恩田朋哉 (@onda_to) 2019年2月21日
このように『2001年宇宙の旅』へのオマージュに満ち溢れたセガテトリス。背景画像の変化はレベル15の近未来都市を最後に止まってしまうわけですが、もしそれ以降も背景が変化し続ける仕様だったとしたらどのような展開が待っていたのでしょう?
おそらく『2001年宇宙の旅』同様、人類の宇宙への進出とHAL的存在との闘い、そしてその後おとずれる人類のさらなる上位的存在への進化が背景画像として描かれていたハズです。この「セガテトリス完全版」のMAXレベルのゲーム画面は、↓のようなモノになっていたことでしょう。
↑「セガテトリス完全版」、MAXレベルゲーム画面想像図。ついにスター・チャイルドが誕生!
なんというスケールの大きさ!なんという深淵なテーマ!
ストーリー性において、セガテトリスを超えるテトリスは未だ発表されていない
このようにセガテトリスはそのシンプルなゲーム性の裏側に、「生命の進化」という深淵なテーマと、元ネタである『2001年宇宙の旅』へのオマージュという要素をバックボーンとして備えています。セガテトリスが持つ独特の神秘的な雰囲気や重厚さは、こうした「隠し味」から産まれているのでしょう。
『テトリス ザ・グランドマスター』など最近のテトリスは、ゲームとしての競技性や遊びやすさは大きく進歩していますが、背景画像やブロックの落下速度といったギミックから、プレイヤーにバックボーンを想像させるゲーム独特のストーリーテリングにおいて、セガテトリスを超えるテトリスは未だ発表されていないのではないでしょうか?
昨今でこそ映画に匹敵する表現力を手に入れたビデオゲームというエンタテインメントですが、30年以上前、1988年に発売されたセガテトリスが、『2001年宇宙の旅』というSF界のビッグタイトル同様のテーマを、ゲーム独自の手法でこうも見事に表現していたことは驚愕と称賛に値します。このアイディアを捻り出し、実現した開発者の方には敬服の念を抱かずにはいられません。
この天才の名前を是非とも知りたいところなんですが、セガテトリスはエンドレスゲームなので、スタッフロールが存在しないんですよね…
各ゲームメディアのみなさん、メガドラミニ収録記念として、セガテトリスアーケード版オリジナル開発者インタビューとか座談会とか、ぜひ企画してくれませんかね?2001%ゼッタイ読みに行きますんでw
【2019/06/11 追記】Twitterで貴重な情報をいただきました!
この記事を読んでくださったやなぼ~さんから、Twitterで貴重な情報をいただきました!
>RT
— やなぼ~ (@yanaboh777) 2019年6月8日
PS2の『テトリスコレクション』だと露骨にモノリスしてたり。 pic.twitter.com/XORQIQJQI4
なんじゃこりゃー!!!???なんとPS2版『テトリスコレクション』では、テトリス=モノリスがもっと露骨な形で明示されている!?
上記シーンは『テトリス ニューセンチュリー』のマラソンモードエンディング画面だそうですが、やはり今回書いたことはあながち私の妄想ではなかったのかも知れません。ブロックではなくプレイエリアがモノリスのオマージュだったのか…なんてこと…!!